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マイクロマウス2013

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マイクロマウスクラシック競技」レポート

決勝は、史上最長の最短経路。加藤雄資氏の「Tetra」が二連覇!

第34回全日本マイクロマウス大会は、フレッシュマンクラス115台、エキスパートクラスに83台のエントリーがあった。画像処理マイクロマウス「mm-7a」がエキシビションで決勝経路を完走した。

エキスパートクラスは、加藤雄資氏の「Tetra」が二連覇。記録は7秒939。

エキスパートクラス

予選に出場したのは57台。ゴールに到達したのが40台(70%)、第2走行成功が37台(64.9%)だった。


【画像】予選迷路。西回り52歩29折、54歩29折、 南回り52歩25折、54歩23折

決勝出場権を得たのは12秒台で走行したマウスまで24台。地区大会でシード権を得たマウスを合わせて34台が決勝迷路に挑んだ。決勝は28台がゴールに到達。第2走行は22台(64.7%)が成功した。


【画像】決勝迷路。西回り107歩32折、107歩38折、105歩32折、☆109歩38折、南回り107歩34折、107歩36折、109歩42折

決勝迷路は「史上最長の最短経路(かもしれない)」と迷路制作委員会がコメントするコースだった。迷路制作委員会の予想では、優勝タイムは8秒前半。優勝した「Tetra」が唯一8秒の壁を破る7秒939でゴールした。例年、コンマ1秒を競いあうマイクロマウスだが、今回は上位陣のタイムにもかなり差があった。

加藤さんのTetraは、昨年と同じハードを使用している。長距離直線の最後にあるポケットが苦手なので、ソフトウエアの見直しをしてあったそうだ。決勝迷路は、周囲の回廊でつまづくマイクロマウスも多かった。ソフトウエアのブラッシュアップが功をなした。

5回全ての走行に成功したのは4位のDao-Hu(Tsung-Chun, Ho / Sin-Mao, Fu)1台。今回の迷路の難しさがよくわかる。

入賞した6名が選んだ最短ルートは下記となる。


[赤]優勝:Tetra, 2位:さくらねずみ5 [青]3位:Diu-Gow、4位:Dao-Hu、6位:こじまうす7CL [ピンク]5位:LinSpeed.TB
各ロボットのクラッシュポイントおよび探索と最速走行の動画を掲載する。クラッシュポイントは第1走行から順に赤、橙、黄、緑、青に色分けしている。上位入賞者でもひっかかってしまうポイントを見て、攻略方法を考えてみるのも面白いだろう。

上位入賞者の走行

6位:こじまうす7CL(小島 宏一氏)



【動画】探索走行。「こじまうす7CL(小島 宏一氏)」の第1走行。探索走行中に停止。2回目に重ね探索をしていた。


【動画】最速走行(4回目)。記録は10秒844。


探査走行でゴールに入った後、全面探索中に赤丸でクラッシュ。2回目、5回目は1区画手前で曲がってしまいクラッシュ。

5位:LinSpeed.TB(Liu, Xue-Lin氏)



【動画】探索走行。「LinSpeed.TB(Liu, Xue-Lin氏)」の第1走行。


【動画】最速走行(3回目)。記録は10秒793。


2回、5回目は直線コースの突き当たりでクラッシュ。4回目は1区画手前を曲がってしまった。探索走行の帰りに、赤丸の角にぶつかって停止している。最短走行を出した3回目も、このポイントがかなりきわどい様子だった。

4位:Dao-Hu(Tsung-Chun, Ho氏 / Sin-Mao, Fu Lunghwa氏)



【動画】探索走行。「Dao-Hu(Tsung-Chun, Ho氏 / Sin-Mao, Fu氏)」の第1走行。


【動画】最速走行(4回目)。記録は9:188。


オレンジは2回目、3回目に走ったコース。重ね探索をし、4回目以降は青のコースを走行した。唯一、5回の走行に成功した「Dao-Hu」だが、4回目はゴール前の柱にぶつかり跳ね返りながらゴールに飛び込んだ。

3位:Diu-Gow(CAI, XIN-HAN氏 / WU, YU-CHENG氏)



【動画】探索走行。「Diu-Gow(CAI, XIN-HAN氏 / WU, YU-CHENG氏)」の第1走行。


【動画】最速走行(4回目)。記録は9秒034

オレンジは2回目、3回目に走行したルート。2回目の走行後に重ね探索をしようとしてクラッシュ(橙)。3回目の帰りは重ね探索に成功し、4回目で青のルートを選んだ。スピードを上げた5回目は、青のポイントでクラッシュ。

2位:さくらねずみ5(佐倉 俊祐氏)



【動画】探索走行。「さくらねずみ5(佐倉 俊祐氏)」の第1走行。


【動画】最速走行(5回目)。記録は8秒655

さくらねずみ5は、探索走行はゴールをせずに全面探索を行った。

優勝:Tetra(加藤雄資氏)



【動画】探索走行。「Tetra(加藤雄資氏)」の第1走行。


【動画】最速走行(5回目)。記録は7秒939

Tetraは、2位と同じコースを走りながら、0.7秒の差をつけて優勝した。

注目マウス


ニューテクノロジー賞は、画像認識で迷路を解析しゴールした「mm-7a(山下伸逸氏)」が受賞。予選タイムは19秒446。決勝進出タイムには届かなかったが、エキシビションで決勝迷路を走行した。

mm-7aは、スタート地点でリフトアップ機構付きCMOSカメラを高く持ち上げて、6枚の写真を撮影。写真を合成して迷路の全体を解析。第1走から最短ルートでゴールを目指す。画像認識で第1走行から最短走行するマイクロマウスの構想は、30年前からあったというが、今大会で初めて実現した。

mm-7aの概要や技術情報は、山下さんのサイト「Camera mouse mm-6 / mm-7」で、公開されている。


【動画】「mm-7a(山下伸逸氏)のデモンストレーション


会場には特別ブースが設けられ、山下氏の解説が行われた。右の画像はmm-7aが解析した迷路情報。(画像提供:山下氏)