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マイクロマウス2012

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「マイクロマウスクラシック競技」レポート

~ 決勝は全員が完走! 優勝は加藤雄資氏の「Tetra」。

【画像1】第33回全日本マイクロマウス大会 開会式風景


第33回全日本マイクロマウス大会は、フレッシュマンクラス100台、エキスパートクラスに83台のエントリーがあった。フレッシュマンクラスは、最年少に中学生がいると同時に、54歳でマイクロマウスデビューする選手もいた。大学生を中心に、幅広い層に参加者が広がっていることを感じる大会となった。

エキスパートクラスは、加藤雄資氏の「Tetra」が優勝。記録は6:181秒。

エキスパートクラスレポート

予選に出場したのは65台。ゴールに到達したのが46台(70.8%)、第2走行成功が37台(56.9%)だった。

予選と決勝の迷路は次の通り。

【画像2】予選迷路。西回り68歩26折、南回り68歩28折

【画像3】予選風景


【画像4】決勝迷路。西回り78歩28折、南回り75歩30折

【画像5】決勝風景


決勝出場権を得たのは19秒台で走行したマウスまで29台。決勝では、全てのマイクロマウスが探索走行でゴールに到達した。第2走行は27台(93.1%)が成功した。

優勝した加藤氏に決勝コースの感想を伺うと「最短経路を見つけるのが難しい。全てのロボットが少しずつ違ったコースを走っていたのでは?」と言われた。最短経路として走行しているのは、西回りと南回り2パターンだったが、筆者が、俯瞰動画で上位7名の最短経路を確認したところ、確かに7名全員が微妙に違うルートを選んでいた。

上位3名の探索と最速走行の動画を掲載する。

3位の「TPK(Chuan-Sian Fu氏 / Jheng-Yan Syu氏)」は、重ね探索を行っていた。
最速走行は3回目に走った06秒729。2回目~4回目は南回りを選択しているが、4回目の帰り道に西側の未探査区画を走行。5回目には西回りを選択したが、記録は6秒770。西回りの方が歩数は短いが、細かいカーブが多いため最短とはならなかったようだ。
ちなみに全走行が終わっても、まだ未探索区画が残っていた。

【画像6】「TPK(Chuan-Sian Fu氏 / Jheng-Yan Syu氏)」の走行コース。3回目が最速で06秒729。4回目は青に分岐したコースを走り06秒783。5回目は緑ルートを選んだ



【動画】探索走行。「TPK(Chuan-Sian Fu氏 / Jheng-Yan Syu氏)」の第1走行。重ね探索。


【動画】最速走行(3回目)。記録は06秒729。

【画像7・8】3位入賞の「TPK(Chuan-Sian Fu氏 / Jheng-Yan Syu氏)」



2位は、「さくらねずみ5(佐倉俊祐氏/東京理科大学 Mice)」。1回目をスタート地点を出てすぐに壁にぶつかってリタイア。2回目の走行で探索を行った。西回りで探索を始めたが、ゴール付近に近づいてもゴールせずに探索を続行。北と南の探索を終え、西側の残っている部分を探索しているときに、壁にぶつかった。
9割の探索状態で最短走行にチャレンジし、選んだルートは次の通り。

【画像9】「さくらねずみ5(佐倉俊祐氏/東京理科大学 Mice)」の走行コース。未探索区画(赤塗りつぶし)を残したまま、最短走行にチャレンジした。記録は06秒645



【動画】探索走行。「さくらねずみ5(佐倉俊祐氏)」は、北側のゴール入り口2区画を未探索のまま終了している。これが、結果にどのような影響を与えたのだろうか?


【動画】最速走行(5回目)。記録は06秒645。

【画像10・11】2位入賞の「さくらねずみ5(佐倉俊祐氏)」


優勝した「Tetra(加藤雄資氏)」は、1回目の走行途中で壁にぶつかり、2回目は重ね探索だけしてスタート地点に戻った。そのためだろうか? Tetraは、南回りの直線を未探索となってしまった。そして選んだのが西回りの最短ルートだ。

【画像12】「Tetra(加藤雄資氏)」の走行コース。未探索区画(赤塗りつぶし)が最短ルート選択に影響したのかどうか? 気になるところだ



【動画】探索走行。「Tetra(加藤雄資氏)」は1回目、2回目と探索をしている。


【動画】最速走行。記録は06秒181。

【画像13・14】「Tetra(加藤雄資氏)」


4位~6位の最短走行動画も掲載する。各ロボットが微妙に違う最短ルートを選び、どのように攻略しているのか。じっくりと見て欲しい。


【動画】4位「Hulk-2(Hung Chung Yuan氏)」の最速走行。記録は07秒03。


【動画】5位「雪風5(中島史敬氏)」の最速走行。記録は07秒063。


【動画】6位「Tushi2(CHANG,CHIN-CHIA氏)の最速走行。記録は07秒202。

注目マウス

ニューテクノロジー賞は2名が受賞した。
「こじまうす7CL(小島宏一氏)」は探索時の走りがユニークだった。こじまうす7CLは、ハーフサイズと同じボディでセンサを変えて、エキスパート用ロボットにしている。そのため迷路探索のときに、迷路内で自由自在にUターンができる。俯瞰してみると、マウスというよりもまるでゾウリムシが走っているようだ。
最短走行の際は、180度ターンでアウトインアウトのライン取りで壁際ギリギリを回っていることにも注目したい。


【動画】こじまうす7CLの探索走行


【動画】「BRAVE(内田雄太郎」は、4輪のマウスで前輪ステアリング方式を採用している。

残念ながら決勝には残らなかったものの、画像認識で迷路を解析した「MM-6A(山下伸逸氏)」が予選で大きな注目を集めていた。
MM-6AはCMOSカメラで、スタート地点から迷路を撮影し、最短経路を求めた。撮影のために、クレーンでカメラを高く持ち上げ、45度ずつ角度を変えて3回迷路を撮影。30秒ほどかけて迷路を解析し、クレーンを畳んで走り始めた。
前日の調整では、かなりイイ線で走っていたのだが、予選本番では壁にぶつかってクラッシュしてしまった。
調整日は天気が悪く外光の影響をあまり受けなかったが、予選日は晴天で日が斜めに差し込む時間帯だったため、迷路の壁上部の反射率が違い壁検出がうまくいかない場所が多かったようだ。
「今後も画像認識技術にチャレンジする」という山下氏の次回走行が楽しみだ。

【画像15・16】「MM-6A(山下伸逸氏)」。クレーンを伸ばして地図情報を得る


【画像17・18】走行時はクレーンを畳んで走る


h3 エキスパート決勝進出マウス一覧(予選通過順、一部シードマウス)















フレッシュマンクラスレポート

フレッシュマン予選は、本迷路を4分割し行われる。マウスは、それぞれのコーナーから4台のマウスがスタートし、中央のゴールを目指す。エントリーは100台で、予選に出走したのが78台。ゴールしたマウスが39台で完走率は50%だった。

優勝したのは、「_H2_(Eum Sang-Hoon氏 & Lee Jae-Seong氏/Dankook Univ. MAZE)で記録は07秒434。両氏は、ロボトレースに6年間出場しており入賞経験を持つ。今年初めてマイクロマウスにチャレンジした。マウスの設計にシミュレーターを使い、最適な動きができるよう重心などの構造設計を行ったという。

【画像48】予選迷路。西回り24歩10折、南回り24歩10折

【画像49】予選風景。4ヶ所のスタートからそれぞれ中央のゴールを目指す


【画像50】決勝迷路。西回り55歩23折、南回り57歩19折

【画像51】決勝風景


優秀賞には、中学生ながら4位入賞を果たした「アカメネズミ(大鶴啓介君/渋谷教育学園幕張中学校電気部)」が受賞。また、特別賞には、50代で初めてロボット競技にチャレンジした「ミツキラビット(久住隆司氏/ロボット・ファン.net)」が選ばれた。久住氏のプログラムは、MONOist連載中の「マイクロマウスで始める組み込み開発入門」で紹介されている。

【画像52】優勝した「_H2_(Eum Sang-Hoon氏 & Lee Jae-Seong氏/Dankook Univ. MAZE)

【画像53】優勝した「_H2_(Eum Sang-Hoon氏 & Lee Jae-Seong氏/Dankook Univ. MAZE)


【画像54】優秀賞の「アカメネズミ(大鶴啓介君/渋谷教育学園幕張中学校電気部)

【画像55】特別賞の「ミツキラビット(久住隆司氏/ロボット・ファン.net)